スリムPCケースに1つだけファンを付けるなら吸気と排気どちらがいいのか【リアファン編】

リアファンだけにするなら、吸気のみと排気のみどちらが効率が良いのか、ファンの向きだけではなく、ケース背面の穴を塞いだ場合と開けた場合の違いも合わせて調べました。

パソコンは前回の記事で使用したlenovoの省スペースPCです。尚、電源ファンもCPUファンもなく、リアファン(92mm)1つだけで検証しています。※熱暴走にご注意ください。


そもそも、なぜファンを1つだけにするのかと言うと、「できるだけ音を静かにしたい」「消費電力を抑えたい」からです。

計測方法


吸気・排気と背面吸気(排気)口の有無は、以下の4パターンです。
吸気のみのときは「正圧」、排気のみのときは「負圧」となります。
  1. 吸気のみ 背面排気口なし
  2. 排気のみ 背面吸気口なし
  3. 排気のみ 背面吸気口あり
  4. 排気のみ 背面吸気口一部あり※
※一部は背面側を正面に見て、左半分を塞いだ状態です。

すべてに共通している項目は下記になります。
  • 計測にはHWMonitorを使用
  • 前面の吸気(排気)口はHDD前の1つ
  • サイドパネルに吸気(排気)口なし
  • ファン・吸気口にフィルターなし
  • 室温は27.4度

普段から高負荷を掛ける使い方をしないため、ブラウザのタブを複数開き、動画を1つ再生した状態で計測しています。※CPUやHDDの使用率は動画の内容などにより数%前後します。

計測結果

クリックで拡大

計測結果
番号 CPU温度 HDD温度 RPM
1 49度 43度 857 RPM
2 49度 39度 722 RPM
3 48度 40度 800 RPM
4 45度 39度 725 RPM

1.吸気のみ 背面排気口なし

上の結果(表)を見てわかるとおり、CPUが49度、HDDが43度となり、どちらも4パターンの中では一番温度が高くなりました。
<図(画像)の見方>
  • 青い矢印は吸気
  • 赤い矢印は排気
  • 水色は吸気(排気)口
  • 半透明の青は風の流れ(イメージ)
風の流れは図のように単純ではなく、複雑な動きをしていることが予想されます。

背面吸気の場合、CPUで熱せられた暖かい空気がHDDに吹きかけられることによって、HDD温度が上がると考えられます。

もう一つ考えられる原因は、CPUに近い位置から風を当てているのにCPU温度が下がっていないことから、排熱自体(空気の流れ=エアフロー)がうまくいっていない可能性があります。

2.排気のみ 背面吸気口なし

HDDの温度は43度からスタートして、13分後に40度、さらに15分後に38度まで下がりました。しかし、CPU温度はまったく下がらず「1」と同じ49度でした。
HDDの温度が39度(計測時)まで下がったのは、吸気口がHDDに近く、ケース内部より冷たい空気が直接あたったこと要因だと考えられます。

逆に、CPU温度がまったく変わらなかったのは、「1」同様にエアフローに原因がありそうです。

3.排気のみ 背面吸気口あり

HDDの温度は39度からスタートして、15分後に40度、その後45分後の測定時まで変化は見られなかった。
2よりHDDの温度が1度上がったのは、吸気口が増えたことにより、前面からの吸気量が減ったことが原因の一つとして考えられます。

また、CPU温度が1と2より1度低くなったのは、背面吸気口から冷たい空気がCPUに直接あたったこと要因だと考えられます。

ただし、どちらも1度しか変わらないため誤差の範囲でしょう。

4.排気のみ 背面吸気口一部あり

HDDの温度は、2と同じ39度でしたが、CPU温度は45度まで下がり、この4パターンでは一番低くなりました。

背面吸気口を狭めたことで、それぞれの吸気量が増え、より強い風があたったことが要因の一つだと考えられます。

もう一つは、背面吸気口と排気口の距離です。
3の場合、吸気口と排気口の距離が近すぎるため、排気したばかりのまだ冷めていない空気をそのまま、また中に取り込んでいる可能性があります。

その点4は、3に比べ10cm程、吸気口まで距離があります。完全に冷えた空気とは行かないまでも、より室温に近い風を取り込めているようです。

番外編

上記以外に、ファンを斜めではなく横向きにして計測しました。
画像左は、排気が戻らないように、ファンの横をアクリルパネルで塞いでいます。ファンを逆向きにもしてみましたが、結果は悪くなるだけでした。
そこで、アクリルパネルとサイドパネルを外した、画像右の状態にしました。

計測結果の画像は割愛しますが、HDD温度はどちらも41度まで上がりました。
左のHDD温度は41度まで下がりました。
CPU温度は、左が50度以上、右が45度以下になりました。

[画像右の計測結果を追加します]
室温28.4度

HDDは44度から計測を始め1時間半後に42度、1時間45分後に41度まで下がりました。(計測時は42度)

CPUは今までよりも少し負荷を掛けましたが、大体45度ぐらいで、たまに43度や50度になることもありました。同程度の負荷だと41度まで下がり、アイドル状態で31度まで下がりました(室温28.2度)。

HDDの使用率が高かったのは、win10の更新プログラムを適用したところ、以前オフにしていた「アプリのバックグラウンド実行の許可」が自動でオンになっていたのが原因でした。
この記事の内容とは関係ありませんが、更新後は「設定>プライバシー>バックグラウンドアプリ」を見直したほうがよさそうです。

現在、サイドパネルを閉めつつ、右の方法が取れないか考え中です。

まとめ

  • 吸気口は1つより2つのほうが良い
  • 排気口と吸気口が近すぎるのは良くない
  • リアファンの場合、吸気より排気のほうが良い
  • サイドパネルを開けて直接風を当てると最高に冷える
ただし、一般的なスリムPCケースの場合、「フロントファン(吸気)+CPUファン+電源ファン(排気)」のように3つくらいはファンが付いています。
リアファンのみで計測したら、おそらく、また違った結果になるでしょう。

今回、検証に使ったのは、こちらの2つです。
Noctua NF-B9

PROLIMA TECH samuel 17


[追記]
現在は、フロントに元から付いていた8㎝ファン外し、そこにNF-B9を付けて使用しています。1㎝大きくなりましたがギリギリ納まりました。
スポンサーリンク
関連記事
スポンサーリンク